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【代表インタビュー公開】TAIってどんな会社?なぜAI×ものづくり×半導体で社会に挑むのか?

Tokyo Artisan Intelligence株式会社(以下:TAI)の代表取締役/CEO,CTOの中原へのインタビューを実施。
今回は起業までのストーリーやTAIの強み、今後の展開などをインタビューしました。

自己紹介と創業までのストーリー

ー簡単に自己紹介をお願いします。

はじめまして、Tokyo Artisan Intelligence 株式会社(TAI)代表の中原です。
私はこれまで一貫して「次世代のコンピュータ技術」に取り組んできました。TAI創業前は大学で半導体設計技術や書き換え可能な半導体チップであるFPGA(Field Programmable Gate Array)の研究開発をしていました。日本と海外を行き来しながら、最先端の半導体技術とAI(人工知能)の融合にも取り組み続けてきました。

現在はTAIの代表も務めながら、東北大学教授として研究とその成果の社会実装に取り組んでいます。

ーTAIを創業する前にしていたことを教えてください。

大学で教育と研究に取り組んでおり、AIと半導体チップの両方をテーマに研究を進めていました。特に注力していたのは、FPGAを使った新しい計算機アーキテクチャや、AI専用高速コンピュータです。この分野で多くの論文を国内外の学会で発表していました。

(参照)マレーシアで開催の国際会議「IEEE MCSoC 2024」にTokyo Artisan Intelligence の創業者 中原が登壇
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000017.000072103.html

大きな転機は2019年にサバティカル制度を利用してロンドンにある理工系で有名なインペリアル・カレッジ・ロンドン校に滞在したことです。現地の研究者や起業家たちと交流し、海外では大学発の技術がどのように社会実装されていくのかを肌で感じました。そこでは、研究者が自ら起業して成果を世に送り出していく“アカデミア・スタートアップ・エコシステム”の文化があり、強い刺激を受けました。一方で、日本でのAIブームで共同研究をしてもなかなか実用には辿り着けませんでした。これらの経験が私の中で「研究成果を実社会で活かしたい」という思いをより強くしました。

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ー「AI半導体チップ」の研究をすることになったきっかけを教えてください。

半導体技術に興味を持ったのは、やはり幼少期の“分解好き”が原点です。自分の手で機械を動かしたい、動く理由を知りたい。そう思って突き詰めていった先に、“半導体”という領域がありました。大学に残って半導体技術を研究していく中で、FPGAという柔軟性に富んだ半導体チップと出会い「自分のアイデアを直接ハードウェアで実現できる」ことに大きな可能性を感じました。

AI分野へ本格的に踏み出す契機となったのは、2009年にチェコで開催された国際学会での出来事です。当時は今ほどAIが注目されていませんでしたが、(その後)世界的なAI研究者として注目される方と出会い「AIはこれから必ず大きなムーブを起こすから、今のうちに研究した方がいい」と強く勧められたことを今でも覚えています。正直、当時はピンと来ていなかったのですが、好奇心から論文を読み、独学でAIの基礎を身につけていきました。

「面白そうだし、やってみよう」でスタートした起業

ーなぜ起業しようと思ったのでしょうか?

起業の一番大きなきっかけは「自分の研究成果を社会で活かしたい」「使える技術を自らの手で世の中に届けたい」という思いです。大学で企業と共同研究をしましたが「いくら優れた技術や論文があっても、社会で実装されなければ意味がない」という現実に直面しました。また、海外で出会った研究者が、自ら起業して成果を社会に還元していく姿に強い刺激を受け、“自分も起業してチャレンジしたい”という気持ちが芽生えてきました。

ロンドンから帰国後、2020年春のコロナ禍で海外との研究がストップして時間が空いた時に、かねてから親交のあった共同研究企業の代表者から「せっかくだから会社を作ってみないか?」という話が持ち上がり起業しました。

コロナ禍で思うように研究活動ができなかった時期でもあり「面白そうだし、やってみよう」という行動力で決断。新しい世界に一歩踏み出した瞬間でした。

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▲創業時のオフィス。最初は小さなスペースからの起業でした

ー創業時に最も苦労したことは何ですか?

創業直後最も苦労したのは「現場のデータ取得」と「経営の壁」でした。AI開発には現場のデータが不可欠なのですが、コロナ禍の移動制限によってデータ収集自体が困難に。また、資金調達や事業計画立案、営業・会計など、研究者時代には経験しなかった“経営のリアル”に直面しました。資金調達については、エンジェル投資家や友人、コンサルタントに知恵を借り、何とかスタートラインに立つことができましたが、とにかく一つ一つが「ゼロから学ぶ」ことばかり。毎日が新しいチャレンジと失敗の連続でした。

AI半導体を社会実装するためには「本当にお客様が必要としているもの」を見極める難しさがあり、現場に何度も足を運び、お客様の声を直接聞くことにも多くの時間を費やしました。また、開発にはメンバーとのコミュニケーションが不可欠であることも、大学の研究開発とは違う経験でした。

お客様との対話、TAIのメンバーとの開発・検証の積み重ねで現在のお客様からの信頼があり、チームプレイが大事であることを身を持って体験しました。私はTAIメンバーに「チームプレイが大事」だと常に言っているのも、これらを経験したからです。

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▲展示会で資本業務提携した企業との共同開発プロダクトを展示してきました

苦難の連続だった創業当時から6年、現在のTAIについて

ーTAIは今、どのようなサービスを提供していますか?

TAIは、「AI×ものづくり×半導体で顧客の課題を解決する」ことを大切にしているテクノロジ・スタートアップです。製造業、鉄道、流通、社会インフラといった“現場”の課題解決、特に人手不足問題に力を入れています。

私たちの主なサービスは、お客様が抱える複雑な業務自動化や人手コスト削減、DX推進などの“現場のリアルな悩み解決”に対して、AIアルゴリズムと独自開発したハードウェアを組み合わせたものづくりによるオリジナルなシステムをゼロから設計・導入することです。

具体的には、

  • 現場データの収集・解析
  • 異常検知や作業自動化AIシステムの開発
  • 製造ラインの省人化や、鉄道・物流現場の最適化
  • 顧客ごとの業務に合わせたカスタムAI/IoT機器開発

など、多岐にわたる現場ソリューションをワンストップで提供しています。

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▲TAIはお客様の現場でものづくりをします!時には夜間での実装もします

ー特に注力している分野や強みはどこでしょうか?

私たちの強みは、「現場に足を運び、お客様と対話しながら本当に必要なものを作る」スタイルにあります。現場の声を徹底的に拾い上げ、ゼロからシステムを形にすることにこだわっています。近年では、鉄道会社との共同開発、電力やガスなどのインフラ、大手製造業、スーパーマーケットなど多様な業界への展開が進みつつあります。

特に、現場のインフラを守るためのAI・IoTソリューションは

  • 夜間や過酷な現場での作業効率化・自動化
  • 安全性向上

といった、リアルな社会課題に直結する分野で高い評価を得ています。また、TAIは半導体やAIの専門技術に加え、システムの社会実装力・ハードウェア設計ノウハウ・現場ですぐに使える機能性が融合している点が最大の特徴です。また、私自身が東北大学でAI・半導体の研究を続けているため、最新の研究成果を生かした製品開発ができることが強みです。お客様と共に悩み、試行錯誤を繰り返し、実際に現場で使える「ものづくりをするAIスタートアップ」であることが私たちの誇りです。

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▲お客様と直接コミュニケーションしながら、どんどん大きなものづくりをしています

ー今後どのようにサービスを展開していく予定ですか?

既存領域(製造・鉄道・インフラ・流通)に留まらず、より幅広い業界・現場にAI・ものづくり・半導体技術を活用したソリューションを広げていきたいです。社会全体で人手不足や現場DXの必要性が高まる中

  • 独自の半導体チップ開発
  • インフラや流通など基幹産業の省力化・効率化
  • AI×IoTによる新しい価値創造

にチャレンジしていきます。また、TAIは“お客様の課題にどこまでも寄り添う”姿勢を大切にし続けます。ゼロからものを生み出す「日本発のAI×ものづくり×半導体を活用するベンチャー」として社会や業界の枠を超えた多様な課題解決に挑み続けていきます。

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TAIはRound Bの資金調達を終え、ものづくりの究極である「半導体チップ」を海外でスタートしました!来年の発表をお楽しみに!

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